帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療


帯状疱疹の痛みには大きく分けて2つの段階があります。

 

1)皮膚や神経の炎症の痛み

2)神経が損傷した痛み

 

1)はウィルスによって神経や皮膚が炎症を起こしている痛みです。表面がヒリヒリするような強い痛みが中心で、通常は発疹が収まって皮膚が普通の状態に戻ると共に痛みもなくなっていきます

 

2)はウィルスによって末梢神経や、もともと潜んでいた根神経節、脊髄が傷つけられた痛みです。皮膚の症状が回復しても残るビリビリするような痛みや焼けるような痛み、うずくような痛みが中心です

 

2)の痛みが、帯状疱疹後神経痛(PHN)といわれます。障害の程度が軽い場合は1~3ヶ月程度で痛みは軽くなっていきますが、重症や特に免疫が弱っている場合などには、難治性となり年単位で痛みが残ってしまうこともあります。

 

 

痛みを感じる状態が長期間続くと、痛みを伝達する経路や痛みを感じる脳が異常に過敏となり、普通の薬や治療法ではなかなか改善しないような中枢性疼痛も起こしてしまいます。痛みと刺激の悪循環に陥ってしまうと日常生活にも大きな影響が及んでしまいます。

帯状疱疹後神経痛に移行しないよう予防するためと、移行してしまっても軽く済ませるためには、できるだけ早期に治療を始めることが大切です。

 

もし、慢性化してしまっても根気よく治療を続けることで徐々に痛みは改善します。

 

治療では、原因となっている部位を中心に、痛みの伝達・認識に関する経路や自律神経など広範囲にアプローチすることが必要です。

 

具体的には発疹の出た部分と末梢神経、神経節、脊髄、脳を治療します。

帯状疱疹は頭や顔、胸部の症状が多いですが、腕や足、臀部、ソケイ部、陰部などに出る場合もあります。

症状の部位に合わせて細かく対応していきます。

 

当院でおこなう遠絡療法は、経絡の応用によって脳の深部までアプローチすることができるので、一般的には治療困難な原因部位に対応できます。

 

発症から時間が経過している場合には、原因部位だけでなく脳や間脳、全身の筋骨系、自律神経系、血管系などにも問題が拡がっていることが多くみられます。当院では原因部位に重点を置きつつ、全身の状態を改善する治療を行います。

 

帯状疱疹後神経痛(PHN)の治療の概要

基本的に横になった安静な状態で行います。

免疫力や回復力を高めるために、遠赤外線マットや保温毛布などを使って全身に温熱を加えながら行います。

レーザーを使って、延髄と首の治療をします。

主に全身の循環改善や免疫賦活、自律神経の調整をはかります。

症状の現れている胸椎や腰椎のレベルの治療を行います。

頭や顔、腕の症状の場合は頚椎レベル、臀部や足、ソケイ部、陰部の場合は腰椎レベルを治療します。

治療では遠隔的な対応部位を利用するため、痛みのある部分を直接治療することはほとんどありません。

神経痛の治療では、損傷した神経の回復と炎症抑制が中心となりますので、重点的にレーザーを照射します。

 

その後、手足の治療ポイントを使って、脳や間脳と末梢神経の治療を行います。

脊髄から末梢神経、疼痛部位まで痛みに沿った経路を元から治療することによって、改善をはやめます。

 

 

発疹痕の残る部位や痛みの神経に近赤外線治療器で温熱を加えます。

炎症抑制と循環の改善効果があります。

脳内の神経炎症が関与する難治性疾患への応用

 

◆線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎など全身の強い痛みや重度の疲労、睡眠障害、認知機能低下、その他多彩な症状を呈する疾患群

◆CRPSや手術後疼痛症候群、帯状疱疹後神経痛など末梢神経障害だけでは説明のできない慢性疼痛疾患群

◆パーキンソン病、パーキンソン症候群、舞踏病、ジスキネジア、ジストニアなど不随意運動を呈する疾患群

◆ALS、多系統萎縮症、視神経脊髄炎、多発性硬化症など進行性の神経変性疾患

◆関節リウマチ、SLE、シェーグレン症候群、皮膚筋炎など自己免疫疾患

 

現在も特効薬や明確な治療法が見つかっていない難病や難症状の多くは、脳内などの中枢神経系の神経炎症も関与していると考えられてきています。当治療室では大学病院や専門病院などで診断と治療を受けている方(検査をしても原因がみつかっていない方)に対して、少しでも症状の緩和や改善をはかるために遠絡療法と温熱療法を組み合わせた応用治療を行っています。

 

具体的には遠赤外線(オーラストーン)による弱温熱によって全身を柔らかく保温して全身循環を高めながら、遠絡療法で脳内のライフフローを改善します。脳内と全身の循環を効果的に高めることで相乗効果が期待できます。特に線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎、CRPS、帯状疱疹後神経痛などの痛みや倦怠感が中心となる疾患は、症状の程度や状態などによって差がありますが、症状の緩和や発作頻度の軽減が期待できます。神経変性疾患や膠原病などについては進行の抑制や症状の緩和を目的として行っています。現代でも治らない病気として考えられている疾患群についても、一般の標準治療を受けつつ、患者様の希望によって当院での施術を併用して行うことで、実際にわずかずつながらも改善していくことも少なくありません。